孫悟空神

2007-10-10




『西遊記』の孫悟空は、中国の沿海地方、福建省や広東省では、廟堂に神像を祭って、実際にも人々の信仰を集める神様になっています。物語の通りに、その名も「斉天大聖」です。


雲南省の大理白族自治州の北部、剣川県では、また別種の孫悟空神が祭祀されています。


家畜小屋の扉に、孫悟空を描いたお札を貼る習俗があるのです。


これはなぜかというと、西遊記冒頭のストーリーと関係があります。


孫悟空は不老不死を求めて天界に殴り込みに行くのですが、このとき天界を統べる玉皇大帝 は、彼をなだめるため、天界の役人に孫悟空を任命します。これが弼馬温(ひつばおん)の位なのですが、これはただの馬飼いのことだったと知るや激怒し、斉天大聖と名乗り、??太子や顕聖二郎真君相手に天宮で大暴れするのです。


つまり、馬小屋の番人であった孫悟空に、家畜の守護神としての意味を見いだしているのです。また、「弼馬温」の「温」(ウェン)は、伝染病の「瘟」(ウェン)とも通じますから、伝染病祓いの神としての意味もあると思います。
雲南西部、ビルマ国境の街、騰衝にも、孫悟空を描いた神像版画がありました。

姿形は明らかに如意棒を持ち、金斗雲に乗った孫悟空です。

しかし、その神名には「羅猴」(ルオホウ)とあります。これはじつは一年ごとに人々の運命に関わる星が変わる星回りと関連する星名で、「羅?」(ルオホウ)のことです。もともとは月蝕に関わるインド天文学の言葉から来ています。「猴」とは猿のことですので、そこから孫悟空を想像したものですが、本来は「?」の字でなくてはなりません。

星回りと人間の運命を相関させる星命説では、日・月・火・水・木・金・土の七曜星に、計都星・羅?星を加えて、九曜星とします。年回りに羅?星に当たると凶などで、その年はなにもしないほうがよいなどとなります。