しんこ細工─麺人児

2008-08-25




しんこ(新粉)細工は、米粉を蒸して練ったものに、手で細工をして人形をつくる細工です。胴体、頭部、手足と部分ごとに色を違え、捏ねて丸めて、竹小刀を用心深く動かして、目鼻を整え、そうして木の棒に挿して売ります。


太公望・猪八戒・Dエ門(重慶市磁器口古鎮にて)


  真剣な面持ちで制作中


もともと北京などでは「江米人児」(ジャンミーレル)などといい、こどもたちの人気者です。四川省では、縁日だけではなく、観光地や夜店の屋台などで、結構見かけますので、全国でも指折りに芸人さんも多い地方のようです。


 孫悟空 (成都夜市にて)



露店で日がな一日職人さんが押し黙って夢中で作っている光景は、ちょっとお邪魔しがたい雰囲気があるのですが、作品はどれもユーモラスな、丸みを帯びた形で、かわいいものばかりです。


仙女 (成都夜市にて・うしろは「キ」ではじまる猫)


最近偽物騒動でやり玉に挙げられているドラえもん・キティちゃん・ウルトラマン、日本の批判をよそにたしかに四川の夜店でも売れ筋です。

伝統的な題材も多くて、食べれば不老不死となる蟠桃を手にもった仙女さまだとか、釣り竿片手の太公望、そして孫悟空に猪八戒、現代物では、中国アニメの人気者、黒猫警察隊長さんなど、中国側もたいそうなキャストです。


ウルトラマンと猪八戒(成都夜市)


日本では江戸時代後期からの歴史があり、魚や動物の形をつくることが多く、昭和初期まではかなりの職人がいたそうですが、いまは二代目小川智之助のお一人しかいないそうです。



 
 Dエ門(成都夜市)


喜田川守貞『守貞稿』(天保年間から書きつづられた百科全書、1835成立)に、


「米の粉に諸彩交へ、鳥獣草 木等の形を造り、方一、二寸の薄き杉板に粘し、小児の弄物を専らとし、これを食す児は稀なり



 清末『成都通覧』の面人芸人


とあります。日本では黒蜜をかけて食べるのもよし、というのですが、たしかに中国でもこれを食べるのはもったいなくて、食べる子供はいないようです。